第061号 過重労働~36協定・労働時間の把握と範囲など~

8月の衛生委員会の議題例 過重労働~36協定・労働時間の把握と範囲など~

労働基準法32条・35条に定められている法定労働時間・法定休日を超えての勤務は、「時間外労働協定を締結し、労働基準監督署長に届け出ること」で初めて認められるようになります。
この協定がいわゆる「36協定」です。

今回の資料は36協定や過重労働の解説、働き方改革の今後の方向性などについてまとめています。
下記URLよりダウンロードできます。
ぜひ積極的にご活用ください。

『過重労働~36協定・労働時間の把握と範囲など~』

DTコラム ~ 現場の声 ~

■ 産業医制度に関する制度改正

常時50人以上の労働者を使用する事業場では、「産業医」の選任が義務づけられています(労働安全衛生法13条1項他)。
この産業医制度の運用について、「産業医制度の在り方に関する検討会報告書」(2016年12月26日公表)を受け、2017年6月1日に一部が改正されました。

改正の内容
産業医制度については、主に下記の3点で変更が生じています。

1. 産業医巡視頻度(労働安全衛生規則15条他)
<変更前>
産業医は、少なくとも毎月1回作業場等の巡視を行い、労働者の健康障害防止のために必要な措置を講ずる。

<変更後>
事業者から毎月1回以上産業医に「所定の情報」が提供されている場合であって、事業者の同意がある場合には、産業医による作業場等の巡視の頻度を、少なくとも2ヶ月に1回とすることを可能とする。
※ 「所定の情報」とは下記内容です。

(1) 衛生管理者が少なくとも毎週1回以上行う作業場等の巡視の結果
(2) (1)のほか、衛生委員会等の調査審議を経て事業者が産業医に提供することとしたもの

2. 健康診断の事後措置(労働安全衛生法66条の4他)
<変更前>
事業者は、健康診断の結果、異常の所見があると診断された労働者について、当該労働者の健康保持に必要な措置について、医師等からの意見を聴取する。

<変更後>
事業者は、各種健康診断の有所見者について医師等が就業上の措置等に関する意見の申出を行う上で必要となる労働者の業務に関する情報を当該医師等から求められたときは、これを提供しなければならないこととする。

3. 過重労働者への措置(労働安全衛生法66条の8他)
<変更前>
事業者は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1ヶ月当たり100時間を超える労働者について、当該労働者からの申し出に基づいて医師による面接指導を行う。

<変更後>
事業者は、毎月1回以上、一定の期日を定めて、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて、労働させた場合におけるその超えた時間の算定を行ったときは、速やかに、その超えた時間が1ヶ月当たり100時間を超えた労働者の氏名及び当該労働者に係る超えた時間に関する情報を、産業医に提供しなければならないものとする。

上記変更、特に上記1を受けて、企業の方から「産業医訪問は2ヶ月に1回でよくなったのか」というお問合せをいただきました。
産業医の業務として「面接」の頻度や時間が増えている現状を重要視し、衛生管理者が毎月実施している「職場巡視」の頻度を状況により減らしてもよいというものであり、産業医の訪問そのものを少なくしてよいということではありません。
また、今回の変更により、事業者から産業医への情報提供が、従来に比してより詳細かつ多頻度になっています。
健康診断の情報、長時間労働者に関する情報等を産業医に提供した後に、どのように対応していくのかをしっかり考える必要があるのかもしれません。

<参考>
「産業医制度の在り方に関する検討会報告書」(厚生労働省)
「「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱」の諮問と答申」(厚生労働省)
「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(厚生労働一六)」(「官報」2017年3月10日号号外)

保健師からの健康アドバイス ~ お役立ちサイトや資料の紹介 ~

●熱中症を予防しましょう

厚生労働省は、平成28年の職場での熱中症による死傷者は462人(うち死亡者12人)と発表しました。

皆様は、「暑さ指数(WBGT)」という言葉をご存知でしょうか。
単純に気温だけでなく、湿度や日差しの違いをも考慮したのが「暑さ指数」です。
一般的に、暑さ指数が31を超えると、安静状態でも熱中症になる危険性が大きいといわれています。
環境省では、暑さ指数をメール配信するサービス(http://www.wbgt.env.go.jp/mail_service.php)を案内しています。
暑さ指数が31以上の日は、外出を控える、充分に休息を取り入れるなど対策をしてみてはいかがでしょうか。

今夏は、気温が平年並み以上になる見通しとなっています。
熱中症は、一人ひとりが正しい知識を持つことで防ぐことができます!
熱中症の正しい知識を身に付け、今夏を過ごしましょう。

「平成28年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確報)を公表します」(厚生労働省)
熱中症予防情報サイト(環境省)
「熱中症予防 2017年は企業の責任が更に明確に」(産業保健新聞)

●食中毒予防の原則は「つけない・増やさない・やっつける」

食中毒は、その原因となる細菌やウイルスが食べ物に付着し、体内へ侵入することによって発生します。
食中毒を防ぐためには、細菌の場合は、細菌を食べ物に「つけない」、食べ物に付着した細菌を「増やさない」、食べ物や調理器具に付着した細菌を「やっつける」という3つが原則となります。

【食中毒にかからない・うつさない】ために注意しましょう。

「食中毒を防ぐ3つの原則・6つのポイント」(政府広報オンライン)
「食中毒予防3原則」(東京都福祉保健局)


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ドクタートラストの実務経験豊かな産業保健師、精神保健福祉士(PSW)が、これまで数多くの企業の衛生委員会運営に携わってきた経験を活かし、衛生委員会の立上げ・運営や、企業の衛生管理全般に関して支援するサービスです。


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