4月の衛生委員会の議題例 社内で取り組む自殺対策
「勤務問題」を原因・動機の1つとする自殺者の割合は、平成19年以降おおむね増加傾向にあります。
下記URLよりダウンロードできます。ぜひ積極的にご活用ください。
「 社内で取り組む自殺対策 」
DTコラム ~ 現場の声 ~
待ったなし!パワハラ防止対策義務化
2020年6月1日から、大企業ではパワハラ防止対策が義務づけられます。
中小企業は2022年3月31日までは、努力義務とされていますが、早めに取り組んでおいて損はないでしょう。
なぜならハラスメント対策は、被害者を守るだけでなく、自社を護るためにも必要な取り組みとなるからです。
企業の社会的信用や採用実績にも如実に響いてきますので、経営層や株主の方の昨今の注目ポイントです。
「まだうちの会社は努力義務だし…」と思っているご担当者様には、人と会社を護るために、早急に対応いただきたいところです。
ハラスメントの種類
そもそもハラスメントの語源は英語の「harassment」。
「迷惑行為、いやがらせ」を意味します。
代表的なハラスメントは、今回対策が義務づけられる「パワハラ」、それに「マタハラ」もありますが、これ以外にも世の中は数多くのハラスメントが存在しています。
あまり耳なじみのないものには「パーハラ」というものもあります。
これは「パーソナルハラスメント」の略で、個人の外見や趣味嗜好など、その人の個性にあたる部分を否定・非難する行為を指します。
「爬虫類を飼うのが夢なんだ!」という個人の好みや嗜好に対して「気持ち悪い」など発言するのがパーハラにあたります。
コミュニケーションの一環ではないか、と思う人もいるかと思いますが、それであればより良いコミュニケーションに結び付けるために一度ご自身の発言を見直す必要があります。
「へぇ、私は正直爬虫類って苦手なんだけれど、どうゆうところに魅力を感じたの?」といった返しにすれば、より相手の内面を知ることができるでしょう。
企業に防止策が義務づけられているハラスメント
パワハラについては就業規則・就業規定で明記しなければならなくなります。
すでに防止策が義務付けられているハラスメントについても、今一度法的根拠を確認しましょう。
・ 職場のパワーハラスメント防止対策の義務化:2020年6月1日~
「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」(労働施策総合推進法)
・ 出産に関するハラスメントの防止対策の義務化:2017年1月1日~
「職場において行なわれるその雇用する女性労働者に対する当該女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法第65条第1項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第2項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であって厚生労働省令で定めるものに関する言動により当該女性労働者の就業環境が害されること」(男女雇用機会均等法11条の2)
「職場において行なわれるその雇用する労働者に対する育児休業、介護休業その他の子の養育又は家族の介護に関する厚生労働省令で定める制度又は措置の利用に関する言動により当該労働者の就業環境が害されること」(育児・介護休業法25条)
※マタハラ(マタニティハラスメント)、パタハラ(パタニティハラスメント)、ケアハラ(ケアハラスメント)とさまざまな呼ばれ方があります。
・ 職場におけるセクシュアルハラスメント対策の義務化:2007年4月1日~
「職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されること」(男女雇用機会均等法11条)
「他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び職員が他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動」(人事院規則2条1項)
※職場におけるセクシュアルハラスメントには、同性に対するものも含まれます。
企業に課せられる措置規定
「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない」(労働施策総合推進法30条2項)
今回初めて、法律によりパワハラが定義され、事業主に措置義務・責務が明記されてました。
「事業主は、優越的言動問題に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる前項の措置に協力するように努めなければならない」
上記のうち、「国の講ずる前頁の措置に協力」というのは、パワハラに対する広報活動や啓蒙活動のことです。
経営層の方々は、パワハラに対して、危機意識と問題意識をもって社員を護る取り組み・言動をしましょう。
実際、ドクタートラストが企業で行うパワハラ対策セミナーの最初に、経営層からひと言挨拶があるだけで、その後の集中力に大きく差が出ているという実績もございます。
労働施策総合推進法の4項では、労働者側の責務についても記載があります。
『労働者は、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に必要な注意を払うとともに、事業主の講ずる前条第一項の措置に協力するように努めなければならない。』
この条文により労働者側も意識をもって、お互いに気を付けていきましょうと注意喚起を行っております。
今回の法案により、雇用主・労働者側、どちらも問題意識を持ちましょうと明言されております。
これを機会に、改めてハラスメントに対する意識の落とし込みやグレーゾーンへの再認識を行う企業様が増えております。問題となってしまってからは遅いです。事前事前の取り組みを意識して取り組んでいきましょう。 【参考】
「あかるい職場応援団」
労働省「職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)」
保健師からの健康アドバイス ~ お役立ちサイトや資料の紹介 ~
肝機能の数値が引っかかるのはお酒の飲みすぎ?~定期健診シーズンの気になる項目~
新年度に入ってすぐに定期健康診断の方は多いのではないでしょうか。
健康診断では、身長や体重・腹囲をはじめ、血圧や血液検査など、さまざまな項目を測定します。
体重や血圧の変化は比較的わかりやすいものの、血液検査の結果はどの項目が何を示しているのか少し難解ですね。
結果をもらったら、みなさんはきちんとチェックしていますか?
封筒から出さず、そのまま放置……なんてことはありませんか。
血液検査の結果を見ると、結果だけでなく肝機能の障害、中性脂肪が多い……など、その項目がどんな意味を示すのか合わせて説明されていることが多いかと思います。
ただ、アルファベットがずらりと並ぶので、基準値を超えている項目があっても、「結局これが引っかかったから、体の中ではどんなことが起こっているの?」と感じられることもあるかもしれません。
今回は、血液検査の結果の中でも肝臓の機能を示す数値について解説します。
肝機能検査の数値が基準値を超えているとき、主に考えられる原因は何でしょうか?
多くの方が思いつくのが「お酒の飲みすぎ」でしょう。
もちろん正解ですが、実はそれだけではありません。
実際にお酒はほとんど飲まないのに、肝機能異常が示される人はたくさんいます。
肝機能が正常に働いているかを示す検査項目はたくさんあるなかで、健康診断で必ず測定されるのは、ALT(GPT)、AST(GOT)、γ‐GTPの3つです。
どうして3つも測定する必要があるのでしょうか?
これらが示す結果は、それぞれ異なるのです。
検査項目の意味を知ろう
① ALT、AST:基準値…30U/L以下
ALT、ASTとは、細胞内で作られる代謝に関わる酵素のこと。
私たちの身体にはなくてはならないものですが、肝細胞が破壊されると、血液中に漏れ出します。
つまり、これらが高い人は肝臓の細胞が壊れてしまっている疑いがあるのです。
では、ALTとASTの違いはなんでしょうか。実はALTは、肝臓の細胞だけで作られる酵素。
ALTが高値を示す場合、肝機能障害が強く疑われます。
一方ASTは、肝臓のほか、心臓や腎臓にも多く存在する酵素です。
ALTはそれほど高くないのに、ASTだけが極端に高い場合は、肝臓以外の病気の可能性もあるということです。
ALTとASTはセットで見る必要がある項目ということになります。
② γ‐GTP:基準値…50U/L以下
γ‐GTPは肝臓や腎臓で作られるたんぱく質分解酵素。
脂質の分解を助けてくれる胆汁や、その通り道である胆管にも多く存在しています。
胆管に胆石が詰まったり(胆石症)、胆汁の流れが悪くなる(胆汁うっ滞)と血液中に漏れ出し、数値が上昇します。
お酒の飲みすぎはもちろんですが、特定の薬の影響を受けて上昇することもあります。
それぞれが高いと、どんな病気が疑われる?
お酒の飲みすぎでALT、AST、γ‐GTPはいずれも上昇します。
しかし、肝臓が影響を受けるのは、アルコールだけではありません。
原因のひとつとして考えられるのは肥満。
お酒の影響ではなく、肥満や生活習慣が原因となった脂肪肝は「非アルコール性脂肪肝」と呼ばれます。
肝細胞には中性脂肪をため込み、血液中に必要な分だけ放出する働きがありますが、中性脂肪が多すぎると、肝細胞に脂肪がどんどんたまっていくことになります。
この状態が進むと、「脂肪肝」と呼ばれる状態になります。
脂肪肝は、症状が進むと脂肪性肝炎、肝硬変、肝細胞がんと進行してしまう可能性があります。
ALT、ASTが高い場合は、脂肪肝がさらに進んで、すでに肝炎が起こっていることも疑われます。
また、γ‐GTPは脂肪肝でも上昇しますが、γ‐GTPは胆管にも多く存在するため、数値が高い場合は肝機能異常以外にも胆道閉塞や胆石症の疑いもあります。
改善するためには?
ALT、ASTが31~49U/Lまたはγ‐GTP50~99 U/Lの場合は、生活習慣の改善・肥満の場合は減量をしましょう。
合言葉は、「なんでも適量」。
まずは飲酒量を適度にすること。
また、脂肪肝の原因となる脂質の多い食品を控えることも大切です。
中華料理や揚げ物、ラーメン、ファーストフードの頻度を減らすことを心掛けてください。
また、肥満傾向と診断されている場合は摂取カロリーを減らしましょう。
ASTやALTのどちらか片方でも50U/L以上、γ‐GTPが100U/L以上の場合や健診結果で要精密検査と診断された場合は、肝障害がかなり進行している状態であると考えられます。
節酒ではなく、ただちに禁酒が必要な状態です。
また、肝炎には脂肪性肝炎のほかにもウイルス性肝炎があるため、生活習慣だけが必ずしも原因とは言い切れません。
検査数値が高い場合は、すぐに精密検査を受けましょう。
恐ろしいのは、肝機能に異常があっても本人には自覚症状がほとんどないこと。
気づかないうちに症状がどんどん進行し、何らかの不調がみられて受診をしたときにはすでに重症化して肝硬変や肝細胞がんになってしまっていることもあります。
肝臓は、私たちの身体の代謝や有害物質の解毒など、多くの生理代謝に関わっています。
以下のサイトに肝臓のはたらきや関連疾患などがまとめられていますので、ひとつでも基準値を超えているものがあった方は、ぜひ参考にされてみてはいかがでしょうか。おすすめ
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田辺三菱製薬株式会社「よくわかる!肝機能ナビ」
以下の記事も合わせてご参照ください
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